バイオ素材とは?
種類やメリットから企業の導入事例まで徹底解説

バイオ素材の種類やメリットを解説する環境配慮型素材のイメージ

近年、地球環境の保護や持続可能な社会の実現に向けて、企業には環境に配慮した製品開発が強く求められています。

その中でもとくに注目を集めているのが、従来の石油由来のプラスチックに代わるバイオ素材の活用です。

私たちの身の回りにある包装容器や自動車の部品など、幅広い分野でバイオ素材への置き換えが進んでいます。

本記事では、バイオ素材の基本的な仕組みをはじめ、導入によって得られるメリットや直面しやすい課題について詳しく解説します。

さらに、実在する企業の導入事例や今後の技術展望についても紹介します。

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1. バイオ素材(バイオプラスチック)とは?

バイオ素材とは、生物由来の資源を原料として作られた素材、あるいは自然界に存在する微生物の働きによって分解される素材の総称です。

代表的なものとして、バイオプラスチックが挙げられます。

従来のプラスチックは石油などの枯渇性資源を原料としており、廃棄時に燃焼すると大気中に二酸化炭素を排出し、自然環境に流出すると半永久的に残り続けるという課題がありました。

この課題を解決するために開発されたのがバイオ素材です。

大きく分けると、原料の由来に焦点を当てたものと、廃棄後の分解機能に焦点を当てたものの二種類が存在します。

それぞれの特性を正しく把握することは、自社の製品に最適な素材を選定するための第一歩となります。

  • バイオマスプラスチック

    植物などの再生可能な生物資源を原料として製造される素材です。

    化石資源の節約や地球温暖化の抑制に貢献します。

  • 生分解性プラスチック

    使用後に自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解される素材です。

    自然環境中でのマイクロプラスチック発生を防ぎます。

1-1. バイオマスプラスチックの仕組みを理解する

バイオマスプラスチックの仕組みを理解する

バイオマスプラスチックは、サトウキビやトウモロコシといった植物を中心とする再生可能な有機資源から作られる素材です。

植物は成長する過程で、大気中の二酸化炭素を吸収して光合成を行います。

そのため、バイオマスプラスチックを廃棄する際に燃やして二酸化炭素が発生したとしても、原料である植物が成長過程で吸収した量と相殺されるという考え方が成り立ちます。

この性質をカーボンニュートラルと呼びます。

大気中の二酸化炭素の総量を実質的に増やさないため、地球温暖化対策として非常に有効な手段となります。

バイオマスについて詳しく知りたい方は 「バイオマスとは?」 もご覧ください。

1-2. 生分解性プラスチックの仕組みを理解する

生分解性プラスチックは、一定の環境条件下において、自然界に存在する微生物の酵素によって最終的に水と二酸化炭素にまで完全に分解される性質を持つ素材です。

通常のプラスチックは自然界で分解されるまでに数百年から数千年という膨大な時間がかかり、海洋プラスチックごみ問題の大きな要因となっています。

しかし生分解性プラスチックを採用することで、万が一自然環境に流出してしまった場合でも、環境への悪影響を最小限に抑えることが可能です。

農業用のマルチフィルムのように、使用後にそのまま土にすき込んで分解させるといった用途でも活躍しています。

2. バイオ素材を導入するメリットは何か?

バイオ素材の導入メリットを検討する企業担当者

企業が製品の原料を従来のプラスチックからバイオ素材へ転換することには、多角的なメリットが存在します。

環境問題の解決に直接的に寄与することはもちろんのこと、企業自身の事業継続性や社会的評価の向上にもつながります。

とくに近年のビジネス環境においては、環境対応を経営の最重要課題と位置づける企業が増加しています。

バイオ素材の導入は、そうした社会的な要請に明確な形で応えるための有効な戦略となります。

以下の表で、環境面と企業面におけるそれぞれのメリットを整理しています。

  • 環境面へのメリット

    大気中の二酸化炭素増加を抑制し、有限な化石資源の消費を削減します。

  • 企業面へのメリット

    環境配慮型企業としてのイメージを向上させ、投資家や消費者からの支持を獲得します。

  • 社会面へのメリット

    新たなリサイクル市場や環境技術の発展を促し、持続可能な経済循環を創出します。

2-1. 地球温暖化対策への貢献を明確にする

カーボンニュートラルと地球温暖化対策のイメージ

バイオ素材の導入によって得られる最大のメリットは、地球温暖化対策への直接的な貢献です。

前述したカーボンニュートラルの性質により、製品のライフサイクル全体を通じた二酸化炭素排出量を大幅に削減することができます。

現在、多くの企業が独自の温室効果ガス削減目標を設定していますが、自社製品の原料をバイオ素材に変更することは、その目標達成に向けた非常に現実的かつ効果的なアプローチとなります。

2-2. 枯渇資源への依存低減を実現する

石油や天然ガスといった化石資源は、将来的に枯渇することが懸念されている有限な資源です。

従来のプラスチックはこれらの資源に大きく依存しているため、将来的な原料価格の高騰や供給不安といったリスクを常に抱えています。

原料を植物などの持続可能な資源に切り替えることは、そうした調達リスクを回避し、事業の安定性を高めることにつながります。

毎年繰り返し栽培できる植物資源を活用することで、長期的な視点での素材調達が可能になります。

2-3. 企業のブランド価値向上を促進する

環境問題への関心が高まる中、消費者はより環境に配慮した製品を選ぶ傾向を強めています。

また、投資の世界においてもESG投資が主流となっており、環境への配慮が欠けている企業は投資対象から外されるリスクがあります。

バイオ素材を積極的に導入し、その取り組みを社会に向けて発信することは、企業のブランド価値を飛躍的に高める要因となります。

競合他社との差別化を図り、市場での優位性を確立するための強力な武器となります。

3. バイオ素材を導入するデメリットと課題は何か?

バイオ素材の品質やコストを評価する開発現場

バイオ素材は環境面で多くの優れた特徴を持っていますが、導入にあたってはいくつかの課題も存在します。

従来のプラスチックは長年の技術蓄積によって、安価で大量に、しかも高い品質で製造する体制が完全に確立されています。

それと比較すると、バイオ素材はまだ発展途上の段階にあると言わざるを得ません。

自社製品への導入を検討する際には、これらの課題を事前に把握し、どのように乗り越えていくかを十分に検討しておく必要があります。

課題の全体像を以下の表にまとめました。

  • 製造コストの問題

    従来素材と比較して原料調達や製造プロセスに費用がかかり、価格が割高になります。

  • リサイクル体制の問題

    既存のプラスチック回収ルートに混入すると、再資源化の工程に支障をきたす恐れがあります。

  • 品質や機能の問題

    素材によっては耐熱性や強度が不足しており、使用できる用途が制限されます。

3-1. 従来素材からの製造コスト増加に対処する

バイオ素材の最も大きな課題は、従来のプラスチックに比べて製造コストが高いという点です。

原料となる植物の栽培や収穫、そこから樹脂を抽出・合成するまでの工程には高度な技術と設備が必要であり、現状では大量生産によるコストダウンが十分に効いていません。

企業が導入を進める際には、製品価格への転嫁をどうするか、あるいは環境価値としての付加価値を消費者にどう理解してもらうかという戦略的な判断が不可欠となります。

3-2. リサイクル体制の未整備を考慮する

とくに生分解性プラスチックに関する課題として、既存のリサイクルインフラとの不適合が挙げられます。

現在、日本国内ではペットボトルなどを回収して再利用する高度なリサイクル体制が構築されています。

しかし、そこに生分解性の素材が混入してしまうと、再生されたプラスチックの強度が落ちてしまうなどの問題が発生します。

普及を進めるためには、素材に応じた適切な分別回収の仕組みや、バイオ素材専用の処理施設の整備などを社会全体で進めていく必要があります。

3-3. 製品に求められる品質や耐久性を確保する

素材の種類によっては、従来のプラスチックと同等の機能を発揮できない場合があります。

たとえば、熱に弱い性質を持つバイオ素材を電子レンジ対応の食品容器に使用することは困難です。

また、長期間の耐久性が求められる建築資材や家電製品の部品などに使用する場合も、経年劣化の速度を慎重に評価しなければなりません。

導入の際には、製品に求められるスペックとバイオ素材の特性を緻密にすり合わせ、場合によっては他の素材との複合化などの工夫を凝らす必要があります。

4. バイオ素材の主な種類と用途は何か?

PLAやバイオPEなどバイオ素材サンプルのイメージ

一口にバイオ素材といっても、その種類は多岐にわたります。

原料となる生物資源の種類や、化学的な合成方法の違いによって、全く異なる性質を持つ素材が生み出されます。

それぞれの素材が持つ特性を理解することで、パッケージ、日用品、工業用部品など、目的に合った適切な用途を見出すことができます。

現在、市場で流通している代表的なバイオ素材の種類と、それぞれの主な活用分野を以下の表で紹介します。

  • ポリ乳酸(PLA)

    トウモロコシなどを原料とし、生分解性と透明性に優れています。

    農業用フィルム、クリアファイル、3Dプリンターの造形材料。

  • バイオポリエチレン(バイオPE)

    サトウキビなどを原料とし、従来のポリエチレンと同等の強度を持ちます。

    レジ袋、シャンプーのボトル、食品の包装フィルム。

  • ポリブチレンサクシネート(PBS)

    柔軟性と耐熱性を兼ね備え、他の素材との相溶性が高い素材です。

    土木建築用のネット、食品トレー、紙コップの防水コーティング。

4-1. ポリ乳酸を農業用資材や日用品に活用する

生分解性マルチフィルムを使用した農業用資材

ポリ乳酸は、トウモロコシやサツマイモなどに含まれるデンプンを発酵させて作られる代表的なバイオ素材です。

透明度が高く、硬い性質を持っているため、日用品のケースやクリアファイルなどに広く使われています。

最大の特徴は、一定の温度と湿度が保たれたコンポストの環境下で、微生物によって速やかに分解される点です。

この特性を活かし、使用後に回収する手間を省くことができる農業用のマルチフィルムとしての需要が高まっています。

4-2. バイオポリエチレンを包装容器に適用する

バイオ素材を使用した環境配慮型の包装資材

バイオポリエチレンは、サトウキビから砂糖を精製した後に残る廃糖蜜などを原料として作られます。

化学的な構造は石油由来のポリエチレンと全く同じであるため、従来のプラスチックと同じ製造設備をそのまま流用できるという大きな強みがあります。

品質や強度も従来品と変わらないため、スーパーマーケットのレジ袋や、洗剤・化粧品のボトル容器など、身近な製品への切り替えが急速に進んでいます。

4-3. ポリブチレンサクシネートを土木資材に採用する

ポリブチレンサクシネートは、柔軟性や耐熱性に優れた生分解性の素材です。

単体で使用されるだけでなく、ポリ乳酸などの他のバイオ素材と混ぜ合わせることで、脆さを補う役割も果たします。

自然環境中での分解速度をコントロールしやすいため、河川や山林の工事で使用される土木用ネットなどに採用されています。

工事が完了した後は自然に分解されて土に還るため、撤去作業にかかる労力とコストを大幅に削減することができます。

5. 企業におけるバイオ素材の導入事例は?

理論的な知識だけでなく、実際に企業がどのようにバイオ素材を活用しているかを知ることは、自社への導入計画を立てるうえで非常に重要です。

すでに多くの先進的な企業が、自社の主力製品にバイオ素材を採用し、大きな成果を上げています。

ここでは、私たちの生活に身近な食品・飲料分野と、高い技術基準が求められる自動車・家電分野における具体的な導入事例を紹介します。

それぞれの企業がどのような課題を解決するためにバイオ素材を選んだのかを以下の表に示します。

  • 飲料業界

    ペットボトル・キャップ・ラベル

    石油由来原料の使用量削減やCO₂排出量の低減。

  • 自動車業界

    シート表皮・内装部品・フロアマット

    環境負荷低減と耐久性の両立。

  • 包装資材業界

    レジ袋・ショッピングバッグ・包装フィルム

    環境配慮型製品への切り替えと企業価値向上。

植物由来素材を使用した飲料パッケージの導入事例

5-1. 飲料パッケージへの導入事例から手法を学ぶ

飲料業界では、大量に消費されるペットボトルの環境負荷低減が急務となっています。

近年は植物由来原料を活用したバイオ素材の採用が進み、ペットボトルやキャップなどへの利用事例が増えています。

環境省の資料によれば、バイオプラスチックの積極的な導入は国の政策としても強く推奨されています。

バイオプラスチック等の持続可能な資源への転換を進めるため、代替素材の利用拡大に向けた技術開発や設備導入を支援しています。

引用元:環境省 プラスチック資源循環

飲料業界では、植物由来原料やリサイクル素材を活用した環境配慮型パッケージの導入が進められています。

石油由来原料の使用量削減やCO₂排出量の低減を目的とした取り組みが拡大しており、環境対応と製品価値向上の両立が進められています。

消費者が毎日手にする製品のパッケージから変革を起こすことで、社会全体の環境意識の向上に大きく貢献しています。

5-2. 自動車内装部品への導入事例から手法を学ぶ

自動車内装部品に使われるバイオ素材の導入事例

自動車産業は非常に高い安全性と耐久性が求められる分野ですが、ここでもバイオ素材の導入が進んでいます。

自動車業界では、シート表皮やドアトリム、フロアマットなどの内装部品への採用事例が増えており、植物由来原料を活用した素材開発も進んでいます。

自動車は長期間にわたって使用されるため、素材には厳しい品質基準が求められます。

素材メーカーとの共同開発により、耐熱性や耐衝撃性の向上が進められており、環境対応と品質維持の両立が図られています。

6. バイオ素材の普及に向けた今後の展望は?

次世代バイオ素材を研究する先端ラボのイメージ

バイオ素材の市場は現在も拡大を続けており、国を挙げた支援策や最新の科学技術によって、さらに飛躍的な発展が見込まれています。

現在直面しているコストや品質の課題も、研究機関や企業の絶え間ない努力によって少しずつ克服されつつあります。

自社の事業戦略を立てる際には、こうした将来のロードマップや新技術の動向を正確に把握しておくことが欠かせません。

これからの普及において鍵となるポイントを以下の表にまとめました。

  • 国・政府機関

    導入目標の設定と、技術開発や設備投資への補助金などの強力な支援。

  • 研究機関

    食料と競合しない新たな原料の開拓や、生産コストを下げる画期的な技術の開発。

  • 民間企業

    サプライチェーン全体での連携強化と、消費者に対する環境価値の積極的な啓発。

6-1. 国や環境省の導入ロードマップを参考にする

日本政府は、バイオ素材の普及を国家戦略として位置づけています。

環境省が策定した方針では、将来に向けた明確な数値目標が設定されており、企業が取り組むべき方向性が示されています。

バイオマスプラスチックについては、2030年までに約200万トンを導入することを目指しています。

引用元:環境省 プラスチック資源循環

このロードマップに従い、政府はバイオ素材の製造設備を導入する企業に対する補助金制度や、環境に配慮した製品を国が率先して購入するグリーン購入法などを通じて、強力な後押しを行っています。

企業はこれらの支援策を賢く活用することで、初期投資の負担を軽減しながら導入を進めることができます。

6-2. 産総研などの最新素材開発動向を把握する

国内の最先端の研究機関では、これまでの常識を覆すような新しいバイオ素材の開発が進められています。

産業技術総合研究所(産総研)の最新の研究動向はその代表例です。

産総研では、食料と競合しない非可食バイオマスを用いた新しいバイオプラスチックの合成技術の開発を進めています。

引用元:産業技術総合研究所

これまではトウモロコシやサトウキビといった食料となる作物が主な原料でしたが、食料不足を引き起こす懸念がありました。

現在は、木材の廃材や農業の過程で出る不要な茎や葉など、人間が食べられない非可食バイオマスを原料とする技術が急速に進化しています。

こうした新技術が実用化されれば、原料コストの低下と食料問題の回避が同時に達成され、バイオ素材の普及はさらに加速すると期待されています。

関連するお役立ち情報

環境配慮型製品やSDGsへの取り組みについては 環境対応とは?SDGsへの取り組み もあわせてご覧ください。

7. まとめ

バイオ素材が広がる持続可能な未来社会のイメージ

バイオ素材は、地球環境の保護と持続可能なビジネスを両立させるための重要な鍵となる存在です。

製造コストの課題やリサイクル体制の整備など、乗り越えるべきハードルは残されていますが、それを上回るほどの多大な環境価値と企業ブランドの向上効果をもたらします。

  • バイオ素材の定義

    植物由来のバイオマスプラスチックと、微生物で分解される生分解性プラスチックが存在します。

  • 導入のメリット

    地球温暖化対策に貢献しつつ、企業としての社会的な評価やブランド価値を高めることができます。

  • 今後の展望

    国の強力なロードマップ支援や、非可食資源を用いた最新技術によってさらなる普及が見込まれます。

本記事で解説した素材ごとの特性や、先行する企業の成功事例を参考にしながら、自社にとって最適なバイオ素材の活用方法を模索していくことが求められます。

最新の技術動向や国の支援策を常に確認し、環境配慮型社会の実現に向けた第一歩を踏み出していくことが重要です。

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